怖い先生

静まり返る教室内。
教壇前にずらーっと並んだ(並ばされた?)
8人の男子生徒。ピーンと張り詰めた緊張感の中、皆固唾を飲んでその光景を見守っている。
窓際から彼らに厳しい眼差しを送る50代後半の女の先生。
そんな状況での僕は、そこにいるのがさも当然であるかのように
自分の席に着いてただ前だけを見据えていた。
それにしても前に立たされている8人の格好はとても奇妙なものだった。上はカッターシャツ一枚、下は白ブリーフ一枚だけの姿にさせられているのだ。
思春期真っ只中で多感なこの時期、女子にこんな姿を見られては、この先まともに学校生活など送ってはいけない。
僕の親友らしき人物が、僕の方を時折恨めしそうに見つめてくる。そんな友人の顔を見ていると、こちらもただ黙って見ているのが申し訳ないような気がして仕方がない。
しかし、そんな悲哀を一瞬にして断ち切るように先生は突然こちらを振り返り厳しい口調でこう言い放った。
「しっかり見とくんだよ。少しでも彼らから目を離したら、あんた達も同じ目に遭わすからね」
これから罰を受けるクラスメートの惨めな姿を見なきゃいけないなんて、はたして何の意味があるんだろう。
僕はそんなこと考えつつも、このクラスにおいて絶対的な権限をもつ先生の意見にはただただ従うほかない。
でないと、先生の言うように自分もまた彼らと同じ同罪にされてしまうからだ。
先生が前に立つ彼らの方に向き直る。
「じゃ、右のアンタから」
突如言い渡された右端の男子生徒は、ギョッと後ずさりしながらも、もうすでに覚悟は決めたと見えて、おもむろに自分のブリーフに手を掛けた。
その途端に辺りがざわざわと騒がしくなる。
クラス全員の目が彼の”モッコリ”としたあの一点に集中している。
「はい、いっせいのーで!」
若干下ろすのを躊躇っていた彼に、先生の掛け声がかかる。
クラスの一種の独特の雰囲気に飲まれるようにして、彼は静かにそっと目を閉じると一気にブリーフを膝下辺りまで下ろしてしまったのだった。
その瞬間、凄まじいほどの女子の歓声が教室中にこだました。
「ほ、本当に脱いじゃった」
「ヤダー、xx君ッてば、、」
「クスクス......」
近くにいた女子から笑い声が聞こえてくる。
彼のお腹の辺りまでしかない、カッターシャツの下からひょっこりとのぞいた、小さな垂れ穂のようなちんちんは窓の外から吹き込んだ寒風で、いっそう縮こまってしまいそうな小ささだった。
きっと彼にとってそれは一番見られたくないものであり、一番見せたくない人たちに見せてしまったという証明にほかならない。彼の全身は集中砲火を浴びた鉄のように恥ずかしさのせいで真っ赤になっている。
ププッ/
クスクス...../
右端の生徒から始まった公開処刑(?)は、執行を重ねるごとに女子の興奮は一段と高まっていった。
僕は窓際に立つ先生の方を見てみた。
相変わらず物凄い剣幕で見つめているようにみえたのだが、よくよく見ればどことなく目はうつろに、口元は緩み、むしろ男子が一糸纏わぬ姿になっていくさまを楽しんでいるような、そんな感じにも見てとれた。
また初めこそあられもない男子の姿を前に照れていた女の子も徐々に慣れるにつれて、堂々とそれを直視するようになっていた。先生によれば、連帯責任であるゆえ、彼らは最後の一人が脱ぎ終えるまで、誰一人として直立不動の姿勢を変えることは許されなかった。
しかも、並んでいる生徒の誰かが途中で少しでも反抗的な態度を見せれば、その時点でたちまち最初からやり直しにさせられてしまうという、とかく厳しいものだった。
あるとき一人の女子生徒が告げ口したことがあった。
「先生、いま○○君がチェッて舌打ちしました」
こういうときの女子というのは残酷なもので、何かと難癖を付けては、先生に再考するよう迫っていた。
先生は先生で僕たち男子の意見にはほとんど耳を傾けないくせに、女子の意見には案外快く応じることも多かった。
そんな感じなので、幾度となく最後の人までたどり着くことなく振り出しに戻ってしまう。
その間も、、
「△△君って、ちっさー」
「でも一番小さいのは・・・かなぁ。」
「うん、思わずナゼナゼしてあげたいと思っちゃった」
「もう、真希ったら」
「・・・君はビックリだったね」
「うわー、大人ーと思ったw」
とこんな感じで、近くの席にいる僕を全く気に留める様子もなく、彼女たちは自由気ままに品評を始めているのだ。
だが、幾度となくやり直しさせられた屈辱のパンツ下ろしもようやく7人目の子まで順番がまわってきた。
しかしこれが予期せぬ事件に発展しようとは・・・。。
6番目の子のパンツが下ろされ、次の子のパンツに注目がいく中、その子はさっきから小刻みに肩を震わせていた。
その顔は今にも泣き出しそうなほどだった。
クラスメートの女子に見られるのが、よほど恥ずかしく、そして悔しいのだろう。
僕は、同じ男として気持ちが痛いほどよく分かった。
だけど、それは彼に限った話ではなく、そこに並んでいる生徒とて同じこと。7番目の彼だけ特別扱いすることは許されないことを分かっていたはず。
その子もそのことはよく理解していると見えて、ようやく自らのブリーフに自らの手をかけた、そのときだった。
次の瞬間、意外な行動を取ったのだ。
「早く早く」
「ほらぁ、早く脱ぎなさいよ」
「脱ーげ!」「脱ーげ!」
一度は決心した彼もまわりから飛ぶ野次にとうとう耐えられなくなったのか、いきなり近くの窓に駆け寄ると外のベランダへと飛び移っていってしまったのだ。そしてあっという間にグラウンドの方へ・・・。
この状況に女子たちはかなり憤慨している。
先生の呼びかけで、団結した女子たちがすぐさま彼の後を追った。
逃亡中の彼にとって、もはや敵は先生のみならず、クラスの半数にも及ぶ女子を敵に回してしまったのだ。
夏の陽の光に照らされたグラウンドのもと、視線の先には逃亡を続ける彼のカッターシャツとブリーフの白が一段と眩く輝いている。まるで犯人はここですよ、と言わんばかりに。
結局、彼の奮闘もむなしくグラウンドの真ん中まで来たあたりで、後続の女子たちに捕まってしまった。
「よぅし、もうここで全部脱がしちゃえー」
「オッケー!!」
ビリビリィーー
カッターシャツが縦に引き裂かれる鈍い音がした。
そして数人に身体を羽交い絞めにされた彼に、下に穿いている白いブリーフに魔の手が迫っていた。
ここでは完全に傍観者を決め込んでいた僕は、まさかという思いでその様子をじっと見つめていた。
羽交い絞めにされた彼はリーダー的な子に向かいあう形で立たされ・・・。
そして、ついに−。
ズリリッ
そのリーダーの子によってブリーフをグイッと下に引っ張り下ろされてしまったのだ。
そこには、いっさい何の躊躇いもなく、、教室から見ていた僕には、彼の白いお尻の割れ目が半分顔を出したのが分かった。
しかし向こう側にいる女子には、もうすでに”オチンチン”が丸見えになっているに違いない。
実際、女子の視線は彼のその一点に集中していた。
クラスの女の子に最も見られたくない部分を脱がされた上に見られてしまう−。
それはあまりにも不条理で恥ずかしすぎる仕打ちだ。
女子たちに寄ってたかって、ブリーフを太ももの辺りまで下げられ、たまらず彼はその場に腰をかがめた。
そのかがんだ状態で彼は前を手で必死に隠していた。
だが、女子たちは彼の周りを取り囲むようにして、その手を振り解こうと躍起になっている。
この世で女子を敵に回すことほど恐ろしいものはない。
夢の中とはいえ、僕はかつてこんなおぞましい場面に遭ったことがなかっただけに、その光景は衝撃的だった。
しかし、彼女たちの猛攻はこれで終わらなかった。
彼女たちはおもむろに彼の肩に手を掛けると、一気に体ごとその場に押し倒してしまったのだ。
股間を見られることを気にするあまり、無防備になっていた彼の体はぶざまにも地面に寝転ぶような態勢になってしまった。
その瞬間、左と右の太ももの間からすべてがあけっ広げに・・・。
それを見て思わず大笑いする女子。
「キャー・・・全然毛がない!!」
「ホントだ、カーワイイ」
「プッ! その格好、赤ちゃんみたい」
彼はもう恥ずかしさで気が動転してしまって、何をどう隠していいのやらそれすら分からなくなっている。
その間にほかの女子たちは彼の膝に引っ掛かっていたブリーフを足のつま先から完全に剥ぎ取ってしまった。
彼はついにグラウンドでただ一人、一糸纏わぬスッポンポンにされてしまったのだ。
引き裂かれたり、剥ぎ取られた服は無残にも辺りに散乱している。
彼は服を拾い集めることさえ許されず、もはや追剥ぎか山姥と化した女子たちに追い立てられるようにグラウンドを逃げ回っていた。